2012年5月27日日曜日

心のディフェンス力をupさせる


人との関係でも、天敵のような存在っていますよね。ハブにとってのマングースのように…。ハブに困っていた人間は、天敵に駆除してもらおうと考え、外来種であるマングースを野に放ちました。けれど、そんな計算はまんまと外れ、マングースはハブを襲わずに、天然記念物であるアマミノクロウサギなど、希少な動物を次々に襲って生態系を壊してしまいました。ハブは、人間にとっては厄介な存在でしたが、アマミノクロウサギにとっては用心棒のような存在でもあって、同じ穴で冬眠をすることで他の敵から身を守っているらしいです。

天敵とまではいかなくても、誰でも苦手な人はいます。そういう人との関係で苦しむときは、自分が酷いことを言われたり、理不尽なことで怒られたりすることが多いです。そして、そういう状況が続くと、気持ち的に疲れてしまいます。

「そんなの簡単じゃん。直接相手に文句を言えばいいじゃん」というアドバイスはよく聞きますし、それは正論です。直接自分の思っていることを相手に言えれば一番良いし、手っ取り早く解決すると思います。ガチンコ勝負というやつです。けど、「言ったら後から何されるか分からない」「その後の関係がギクシャクしそう」と思ってしまうのも、また人の心というものです。苦手な人に向かって直接文句を言うのは難しいです。簡単に言えるくらいだったら、もう苦手じゃないかもしれません。

じゃあ、どうすればいいのか?というのは、やはり簡単には解決できないですが、直接本人に言えない場合、僕は心の中で相手に対する反論をたくさん考えるといいと思います。

それをしたからといって、目に見える何かが変わるわけではありません。けれど、「それはそっちが悪いだろ!」とか「それはただの八つ当たりじゃないか!」と思っていると、気持ち的な守りが強くなるのです。また、同じようなシチュエーションにさらされた時のダメージが、ずいぶん軽くなってると思います。

こう書くと、何でも他人の責任にしたら、ただのワガママになるんじゃないか?と心配する人もいるかと思います。しかし、そういうことで苦しむ時には、自分が悪いんだと思い過ぎていることが多いです。「自分がダメなのかぁ」「私が悪かったんだ」という思いが強いと、ダメージも大きくなります。何か問題が起こった時に、全部相手のせい、ということがあまりないのと同じように、全部自分のせい、ということもあまりないですよ。だから、反論を考えて、バランスをよくすると心の守りが強くなります。

そんな手間がかかることじゃなくて、いっそのこと苦手な人がいなくなってしまえば、問題は解決だろうという考えもあります。けれど、もっと広く考えてみると、ハブとマングースとアマミノクロウサギのように、そんな人もどこかで自分の役に立っていることがあるのかもしれません。もちろん、大変な渦中にいる時は、とてもそんな風に考えたくはないでしょうが…。

関連記事:『心が弱い

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2012年5月15日火曜日

感情をコントロールしすぎると…

以前、自分の気持ちを誰かに言えると心が癒える事について書きましたが、今回はその一歩手前の『思う』ことについて書きます。
(関連記事:『自己主張の意味』)

心理学を学んだことがない人でも、フロイトを知っている人は多いと思います。インド人が数字で『0』という概念を作ったのが偉かったように、フロイトは『無意識』という概念を提唱したことで有名です。

フロイトがバリバリ仕事をしていたのは、今から100年くらい前でした。その頃は、女性が性的なことを考えるなんてみっともない・はしたないという時代背景があったそうです。だから、そんなことを考えちゃいけないと自分で自分の感情や思考を制限している人が多くて、ちょっとした性的な刺激で卒倒する人がいたらしいです。フロイトは、その仕組みを『抑圧』と呼びました。

『アルプスの少女ハイジ』の中でも同じ仕組みが描かれています。ハイジはアルプスの大自然で、楽しく暮らしていたのですが、ある日、大都会のフランクフルトのお金持ちの家へ無理矢理連れて行かれます。そこで、歩けない少女、クララの勉強相手をして暮らすことになります。ハイジはクララとは仲良くなるのですが、執事の厳しい躾や都会の生活になじめず、次第にアルプスに帰りたいと思うようになります。クララは、ハイジがいなくなってしまうのではないかと心配します。それを知った執事は、「お嬢様が心配なさるから、アルプスのことをしゃべってはいけません。考えてもいけません」とハイジを怒ります。するとハイジは、夜中寝たままの状態で、家の中を歩き回るという夢遊病になってしまいます。

ドイツ側から見たアルプス

ハイジがアルプスのことを考えていたように、何かを考えたり思ったりするのは、本当はその人の自由ですよね。けれど、誰でも「そんなこと考えちゃダメでしょ」と一度くらいは言われた経験があると思います。そういう風に自由に考えたり、思ったりすることを制限されるのは、心にとって大きな負担になるのです。

例えば、好きな人にフラれちゃった人が、とても傷ついて「もう生きててもしょうがない」ともらしたとします。そしたら、「そんな風に考えるもんじゃない」「そのうち、必ず良いことがある」「悪いことばっかりじゃなかったでしょ」などのアドバイスがされがちです。確かにそうなんですけど、思ってるだけならいいじゃないですか。生きててもしょうがないと思っていることと、死んでしまおうと行動に移すことは全く別物です。ちゃんと落ち込むから、ちゃんと回復するということもありますしね。

僕がきついんじゃないかと思うのは、「『もう生きててもしょうがない』なんて思っちゃいけない」というように自分の思いを強く規制することです。『思っちゃいけないことはない』ということが、頭の片隅にあると少し自由になれますよ。


ちなみに、クララが歩けなかったのも心理的な問題によるものです。アルプスの少女ハイジはとても示唆に富んでいますよ。


関連記事:『自己主張の意味

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