2013年12月29日日曜日

おいしいものを食べたことがない人に、おいしい料理は作れない

僕がいつも行っているレストランのマスターは、僕と同じで海外旅行が好きです。それで、その店に行くといつも、
次はどの国がおもしろそうなんだろう?という話になります。ある時、『××日~××日まで、研修のためにお休みします』と貼り紙がしてありました。研修なんてあるのかと尋ねると、ただマレーシアに旅行に行くのだと言われ、笑っちゃいました。

けれど、この“研修”というのは、あながち間違いでもありません。僕も今まで色々な国を旅行して、何人かコックをしている旅人に会う機会がありました。彼らは、世界のおいしいものを食べて、舌に記憶して、自分の幅を広げているそうです。当たり前のことですが、おいしいものを食べたことがない人に、おいしい料理は作れないのです。

映画『かもめ食堂』のロケ地になった食堂です。
実際は日本食でなく、フィンランドの料理を出していました。
トナカイ料理を食べてみたのですが、味は・・・。
その論理を、臨床心理士の世界に当てはめてみると、全くそういうことはなされていません。心理士の間では、相手を褒めることは重要だという共通認識があるのですが、研修会などで症例を発表する際には発表者は全然褒められません。あれやこれやと批判され、たいてい発表が終わるころには、二度と発表なんかしないという決意を固めています。つまり、褒めないといけない人が、褒められるという体験をしていないのです。これだと良いカウンセラーは育ちませんよね。

では、みなさんの職場ではどうでしょうか?“お客さんには、こういう風に接しなさい”、と鬼の形相で指導している人もいますよね?さっきの料理人の例えで言うと、一生懸命、腕の悪い料理人を育てているように僕には見えるのですが、どうなんでしょうね。

ですから、お客さんに対してこういう接し方をしたらいいのでは?というアイディアが生まれたら、まずは同僚、部下、時には上司に対して実践してみるのはどうでしょうか?そうして、良い体験をした人が増えると、自然にお客さんへの接し方もより良い方向に向かっていくと思います。一見、手間がかかるように見えて、このやり方の方がずっと早く変わっていくと思うのですが、どう思います?

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2013年11月30日土曜日

やる気を出したいときに、1つだけ意識したらいいこと

“やる気”や“意欲”がわかなくて、何もしたくなくなるときはありませんか?

そのままグダグダできたらいいけれど、なかなかそうもいかない状況の方が多いですよね。例えば、学生さんであれば、「試験が近いから勉強しないといけない」、仕事を持っている人は、「最低限の仕事はこなさないといけない」となります。

しかし、実際に意欲がわかないときに、それらをこなすのは大変です。

そもそも、意欲がなくなっているときは、勉強や仕事以外のことも何だか億劫になっています。「風呂に入るのが面倒くさい」とか、「ご飯食べるのも面倒くさい」という経験は誰でもあるんじゃないでしょうか。そんなとき、勉強だけのやる気、仕事だけのやる気を起こさせるのはとても難しいことです。勉強や仕事というのは、多くの人にとって、そんなに楽しいものではないですから、なおさらです。

やる気というのは、“特定の何かだけのやる気を起こさせる”というような器用なことは難しいです。ですから、やる気がなくなったときは、勉強や仕事などのように、自分にとって嫌なことを頑張る中で試行錯誤するよりは、楽しそうなこと、ワクワクすることをやるのがおススメです。そうしていると、やる気が引き出されてきて、それが広がって、他の活動に対しても意欲的になってきます。そして、最後に「嫌なこともやってみようかな」という風に、勉強や仕事もやるようになるのです。

ですから、やる気がなくなったときは、そういう状況でも少しはやってみたいこと、自分のテンションが上がることを探して見てください。そして、それをやることが、遠回りなようで一番早い方法だと思います。
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2013年10月31日木曜日

無駄なことを大事にする

前回も写真を載せたのですが、夏にスペインを旅行しました。アンダルシアとバスクを回りました。

スペインは、食べ物がおいしいのですが、バスクの料理はさらにもう一つレベルが高かったです。特にソースにフルーツが入っていたり工夫がこらされていて、素人ながら、それが味を引き上げていたように感じました。ソースが凝っているのは、フランスからの影響でしょうかね?

旅行するだけでなく、住んでみたいと思わせるほどの魅力がありました。

もちろん、食べ物のおいしさも住みたい気分になったポイントの1つです。けれど、悪く言えば大雑把ということなのでしょうが、あの何ともゆるい雰囲気が僕としては居心地が良かったです。シエスタがあって働く時間が短いのは知られていますが、バルにいるだけでも、スタッフ同士が雑談して笑っていたり、お客さんとの関係も友達のようになっていて、いい感じでした。

バルの店員さんがシードラというお酒をおごってくれました。
高い位置から注ぐものなのだそうです。
結構こぼれてましたが、気にする様子もなかったです。

日本では、休み時間もないほど働いている人がたくさんいますし、スタッフ同士で笑っていたらクレームが来るかもしれません。スペインと比べると、そこら辺は窮屈に感じるのですが、どうなんでしょうね?

日本は経済大国ですし、競争力を持つためにより効果的に、より効率的にという意識が強いです。けれど、それを進めることで失われちゃう何かが同時にあるのでしょうね。スペインを旅して、僕自身は、効果や効率とは反対の、できるだけ無駄なことにエネルギーをかけたいと思いました。時代の流れには反しているのかもしれませんが…。

前回記事『相手に欠点を自覚させたいとき(その2)

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2013年10月16日水曜日

相手に欠点を自覚させたいとき(その2)

前回の続きです。もう一歩踏み込んで頑張ってもいいという気概がある方は、読んでみて下さい。

前回も書いたのですが、結局のところ、相手の欠点というのは、その人自身が気づくことが大事です。外から無理やり気づかせようとすると、抵抗する気持ちが出てきます。意識しているにしろ、無意識にしろ、あの手この手で防ぐように頑張ります。

ギリギリまで水が注がれているグラスに、さらに水を入れると溢れてしまいます。それと同じで、自分の欠点に気づくことは、グラスの水をあふれさせることに繋がるかもしれません。そうならないように、防御しないといけません。ですから、まずはグラスの水を減らす作業が必要です。

じゃあ、どうしたら水は減るのか?まず批判したい気持ちを脇に置いておいて、相手の良いところを褒めてみるやり方があります。相手が褒められたり認められたりして、自分に余裕ができた分だけ、自身の欠点にも目を向けることができます。それが相手に対して負担が少ないやり方ですし、効果もあります。

スペイン フリヒリアナ 太陽の日差しが強いため、家の壁は白いそうです

昔から言われていることですが、やはり、北風よりも太陽なんです。“憎たらしいから、欠点を突きつけてやろう”なんて気持ちで接すると、余計に防御が強くなりがちです。北風をビュンビュン吹かせることは、自分の気分が一瞬スッキリするという効果はあるかもしれませんが…。


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2013年9月24日火曜日

相手に欠点を自覚させたいとき(その1)

問題が起こっているのに、当の本人は全然気づいていない。“お前だよ!”と突っ込みたくなることありませんか?これって、イラッとしますよね。なんとか相手に欠点を自覚させたい。そうしないと、問題がいつまでも繰り返される、と賢い人は気づきます。

僕は、臨床心理士の研修を企画するようなこともしています。「ひどいことをしてる臨床心理士がいる」という話を伝え聞くと、じゃあ、そういうことを減らすための研修をしようとあれこれ考えます。“こんな研修にしたら、自分の問題に気づけるだろう”とか、仕掛けを作るわけです。

けれど、蓋を開けてみると、一番そういうことに気付いてほしい人は、ちゃんと来ないんです。すでに、出来ている人ばかりが参加します。

それを見ると、人って上手くできてるなぁ。自分の欠点に向き合わないように、できているんだなぁと思います。

正義感が強い人は、“そんなんじゃイカン!ちゃんと向き合うようにさせないと”と頑張るのですが、せっかく向き合わないようにしてるんだから、それを突きつけるのは、ちょっと酷かなとも思います。

結局、本人の受け入れる準備が整わないと、欠点を自覚させるのは難しいんです。

じゃあ、こっちのイライラはどうしたらいいのか?それは、相手が逃げてるんじゃなくて、そうやって心を守っているんだ、と思えると、少しだけ優しい気持ちになれますよ。


いやいや、もうちょっと積極的に何かしたいという方は、続きも読んでみてください。
相手に欠点を自覚させたいとき(その2)

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2013年8月21日水曜日

チルドレン

この前、伊坂幸太郎の“チルドレン”という小説を読みました。面白かったのでおススメです。

短編集ですが、それぞれの話に共通した登場人物が出てきます。家庭裁判所の調査官なのですが、仕事のやり方はめちゃくちゃだけど大事な所は外さないという人で、魅力的でした。

その小説の中で、子どもは集団になると別物になる。だから、チャイルドの複数形はチャイルズではなくて、チルドレンなのだと書かれていて、なるほど、と感心しました。

よく考えてみると、これって子供に限りませんよね。1対1で会うときと、集団の中で会うとき、同じ人でも雰囲気が違うことがあります。中には、別人のように変わる人もいます。意識して使い分けている人は、多くないと思いますが、接する側としては、そういった違いが見えたことで戸惑ったり、混乱することもあります。自分も思春期くらいに、そんなことを感じてたような気がします。

個性や人柄のことを英語でパーソナリティと言います。この語源は、ペルソナだと言われています。ペルソナの意味は、仮面ということです。つまり、人は相手や場によって見せる顔が違う。仮面を付け替えて生きている、ということから派生しているそうです。

人は色々な面を持っていて、その全部を含めて個性というのでしょうかね?

この仮面を使い分けられる人のことを、世渡り上手と言うのかもしれません。反対に、使い分けるのが苦手な人は、生き辛さを感じるかもしれません。けど、一緒にいる相手としては、安心感があっていいんですけどね。一長一短で、なかなか難しいものです。


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2013年7月31日水曜日

”こうなりたい”が自分を変える

先週、行われたサッカーの東アジアカップは見ましたか?ワールドカップまであと1年ですが、そのための新戦力を発掘する意図がザッケローニ監督にはあったそうです。日本代表は、長年、決定力不足を指摘されていたのですが、今回は若い選手がゴール前で落ち着いてプレーしているように見えました。Jリーグが始まったころは、ゴール前でホームランのようなシュートを打つ選手が多かったですから、日本のサッカーレベルも、また一つ上がっているのかもしれません。

ミラノ サンシーロスタジアム
トップアスリートが自分の力を出し切るためには、イメージが重要だそうです。イメージトレーニングというのは、こうなれたら良いなという自分を想像することです。そういう理想というか、追い求めている姿をイメージできると、良いプレイができるそうです。逆に、具体的なイメージができずに、ただ良いプレイをしたいと思っていても、なかなかそうはなれないようです。

これは悩みがあるときも同じです。自分が抱える問題に対して、「あれがダメだぁ」「これもダメだぁ」とは思うけども、「じゃあ、どうなりたいの?」と聞かれると、それは思いつかないことがあります。頭の中が悪いイメージでいっぱいのときは、その状況もなかなか変わりません。「自分はこうなりたいんだ」ということがイメージできたら、少しずつでもそのイメージに近づいていけるものです。

イメージするだけで変わっていくなんて、そんな簡単じゃないだろ、と思う人もいるかもしれません。けれど、目指すべきものが具体的になると、今、何をしたらいいのかがはっきりすることもありますよ。

もちろん、悪いほうに考えてしまうということにもちゃんと意味はありますし、それはそれで大切な役割があります。けれど、何だか上手くいかないとき、「今の問題がなくなったら、自分はどんな風になるだろう?」と想像してみると、何かが違ってくるかもしれないですよ。


写真は、ACミランとインテルのホームスタジアムです。やはり、このスタジアムの雰囲気は独特でした。本田も移籍できるといいですね。

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2013年7月18日木曜日

気分の波をさざ波に・・・その2

前回の続きです。
前回は、気分屋的に生きるのが気分の波を穏やかにするコツだと書きました。けれど、そういう生き方が合わない人も当然います。

パラオの海
それは、心配や不安が強い人です。そういう人は、きっちり予定が決まっている方が落ち着きます。予定を立てて、不確定な要素を少なくするということが、不安に対する対処になっているのです。ですから、予定を立てずに行き当たりばったりな生き方をすると、不安が余計に強くなることもあります。

自分はどっちのタイプなのか…?旅行の仕方には、その違いがはっきり表れます。自分が旅行をする時に、どうしているかを思い出して下さい。あらかじめ旅行先のことを調べて、きっちり計画を立てるのが好きなタイプか?事前に情報を入れないで行き当たりばったりを楽しむタイプか?それで大まかに自分がどっちに合っているかが分かります。
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2013年6月15日土曜日

気分の波を、さざ波に

気分の波が激しい人っています。落ち込んでいる時は、自分を責めてしまって大変ですし、反対に上がってくるといつの間にか周りに被害が及んでいて、やっぱり大変です。そういう特徴に自分自身も翻弄されて困っている人はめずらしくないです。

こういう人は、歴史上の人物でもたくさんいて、ゲーテもそうだったと言われています。彼は、気分が落ち込んだときに色々と考えて、その内容を気分が高まったときに文章にしていたらしいです。そうやって上手に波を乗りこなしていたとも言えます。ゲーテのように波を生活の一部として上手く取り入れてあげると、翻弄される感じは少なくなって、自分の体感としては全く違います。

けれど、これが多くの人に使える方法なのかと考えると、なかなか難しいですよね。どうしてかと言うと、ゲーテのように自分のペースを守りながら生きることは難しいからです。社会生活では、もっと自分のペースを乱されたり、周囲に合わせることが求められますよね。

じゃあ、気分の波に翻弄されるしかないのか?というと、そうでもありません。これは、精神科医の神田橋條治先生が言っていたのですが、“気分の波は、気分屋的に過ごしていると穏やかになる”そうです。海の波も地形が狭いところでは高くなりますよね。それと同じように、人の気分の波も、窮屈な状況に置かれると激しくなってしまうのです。ですから、生活の中に気まぐれをできるだけ取り入れるといいそうです。具体的には、仕事から真っすぐ家に帰ろうと思っていたけど、気が向いたから本屋で立ち読みする、とか。カレー食べようと思っていたけど、気分が変わったからラーメンにする、とか。手軽にできることからやるのがおススメです。

自分を窮屈にしているのは、置かれている環境だけではなく、自分自身の考えの時もあります。“~であらねばならない”“~じゃなきゃダメだ”という考えが、自分を縛っているのです。そういう考え方がダメということはなくて、自分の中のある部分を守ってくれてもいるのですが、気分の波がさざ波になっていく時には、自然にそういう縛りがほどけていることが多いです。

ファウスト〈1〉 (新潮文庫)
ゲーテ
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ゲーテの小説です。


精神科養生のコツ 改訂
神田橋 條治
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こちらは、神田橋先生の著作です。専門書ではないので、誰でも読めます。参考にしやすいコツがたくさんのっています。

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2013年6月5日水曜日

やる気のスイッチの入れ方


不登校の子どもに対して周囲の大人がとる方法で最も多いのが、“脅し”です。「このままだと行く高校がない」とか、「そんなことでくじけるなら、社会に出てからやっていけない」などなど。教師も親もあの手この手で不安をあおります。その不安に駆られて学校に行けるようになることもありますが、大抵、すぐに息切れしてしまいます。

こんな風に、人を不安にさせて行動を変えるというコミュニケーションは、世の中にけっこう多いです。

ガンになったら、こんなに大金が必要になる。そのために保険に入りましょう、とか。生活習慣をちゃんとしないと恐ろしい病気になる、とか・・・。そのやり方では、少しの間シャキッとしても、長続きはしません。(だから、契約するまで意識を高めればいいだけの保険会社は儲かって、持続的な意識が必要な生活習慣はなかなか改善しないのだと思います。)

反対に「育毛剤」のCMなんか見てると、「髪がまた生える!」などという希望に満ちたメッセージですよね。ほとんど効果はないんじゃないか?という薬に、お金をつぎこんでいる人がたくさんいます。けれど、こういうメッセージの方が、やる気は続いていくわけです。

僕らがやる気を持ち続けられる時は、「これをやったら、こんな良いことがある」と思える時です。もし、相手にやる気を出させたい時には、そのようなメッセージを考えてみると良いですよ。

ウソみたいな話ですが、学校に好きな子ができたら不登校じゃなくなっちゃったという人が、今までカウンセリングした中に何人かいました。そんなとき、自分のカウンセリングってなんだったんだろうという気持ちになりますが…。

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2013年5月21日火曜日

個性を引き出す方法としての引きこもり

僕は、引きこもりの人と話すのが結構好きです。

ドラマなどで、引きこもりをテーマにしていることがありますが、そういう時の描かれようはひどいです。暗くて、鬱積したものを持っていて、異常なことをするような、だいたいそんな感じです。それはやや誇張されたイメージだと思います。

引きこもりを理解するのには、江戸時代の日本を考えるとよいです。その時代に鎖国していた日本は、国家レベルでひきこもりをしていたとも言えますよね。そして、鎖国したのは悪いことばかりじゃなかったはずです。

江戸時代に鎖国していた日本は、浮世絵などの独自の文化が花開いて、それが陶磁器の包装紙に使われて海外に伝わって、ゴッホやモネなど印象派の画家たちに影響を与えたという話は有名です。鎖国して外との交流を控えていたから個性豊かな文化が花開いたわけです。

ゴッホが題材にしたフランスのアルルの跳ね橋
カウンセリングをしていると、引きこもり(カウンセリングに来るようになったということは、正確に言うと、引きこもり明けですかね)の人とお会いする機会が多いのですが、独特な魅力を持っている人が多いです。自分がふれたことのない考え方を持っていたりして、話すと面白いです。ただ、社会が引きこもりに対して持っているネガティブなイメージが強くて、その人達自身も引きこもりにネガティブなイメージを持ってしまっています。

こういう風に言うと、引きこもっていて本当に苦しい人から怒られそうですが、でも、僕は自分に味を出したい時には、引きこもってみるのも1つの手かなと思っています。外からの情報を遮断することで、個性やオリジナリティは醸成されるような気がします。

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2013年4月30日火曜日

人類、みな平等

最近、メディアによっていじめが取り上げられていますし、国としてもそこに力を注ぐようになってきたみたいですね。

そういう問題が出ると、小さいころから教えられていたのは、“人はみんな平等なんだ。だから差別したり、いじめたらいけないんだ”というものです。それはそうなんだろうけど、ふだん生活していて、“人は誰でも平等だ”なんて実感することは少ないですよね。そして、実感が少ないことを語っても、あまり相手には響きません。

僕も“人は、平等”なんて、ずっと実感がないままに生きてきました。南米に行くまでは…。

チリの北部からアタカマ砂漠を越えて、ボリビアのウユニ塩湖まで行くルートがあって、それは見どころもたくさんあるので、2,3泊しながら行きます。僕も、南米を旅行した時、そのルートで国境を越えました。色んな国の貧乏旅行者が同じルートをたどっていました。けれど、そのルートには、標高が高くて高山病になりやすいという落とし穴があります。

アタカマ砂漠を抜けると、ウユニ塩湖が広がります
僕は当時、高山病をあまり理解していませんでした。直前まで海沿いの街でぼんやり過ごしていて、急に思い立って高地に行ったので、今、考えるとかなりの高低差がありました。そして、まんまと高山病にかかってしまったのです。

高山病は、本当にしんどくて、頭は痛いしゲロは吐くし。現地の人が高山病に効くからとコカ茶を飲ませてくれたのですが、それすらも吐いてしまうような感じでした。ですが、ふと見ると、そこに集まっていた様々な人種、性別の人が、みんな等しくゲロを吐いていました。屈強な身体つきの欧米人も高低差という驚異の前ではなすすべなく、オエーっと同じ効果音を出しながら吐いていました。苦しさの中で、僕の頭の中には“人類みな平等”という言葉が浮かんでいました。

こういう経験をすると、今まで教わっていた差別やいじめをしちゃいけない理由が実感をもって浸透するものです。けれど、子どもたちをみんなボリビアに行かせるわけにもいきませんしね。なかなか難しいです。もう少し別のアプローチを考えるべきなのかもしれません。

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2013年3月30日土曜日

オタクの真価は最期にこそ発揮される

僕は病院で働いているので、ガンで余命が少ない方のお話を聴く機会があります。

そういうカウンセリングの中では、その方が、これまで生きてきた自分の歴史を振り返って「あぁ、自分の人生ってこうだったなぁ」と感慨にふけることがあります。そうすることで少し気持ちが穏やかになるみたいで、大事な作業だと思っています。

この自分の人生を振り返るという作業をする際に、オタク的な部分を持っている人は、そうでない人と少し趣が異なっています。先日、あるスポーツのオタクだという人と話す機会がありました。その方が小さい頃から夢中になって見てきた歴史を教えてくれて、この時代にこういう偉大な選手がいて、その後、別の流れが来て…、というように話してくれました。そして、そのスポーツの記憶に付随して、その時々の自分を思い出しながら人生を振り返っていました。

自分の人生を振り返るときに、印象的な出来事をダイレクトに思い出しながら振り返る人も少なくないのですが、オタク的な部分を持っている人は、自分が夢中になってきた物を、緩衝材のように間に置いて振り返ることができるのです。もちろん、こっちの方が良いとか、あっちの方が悪いとかいう話ではないです。けれど、オタク的な人生の振り返り方はさわやかだし、面白みもあるので、個人的には好きです。

自分自身を振り返って考えてみると、そんなに夢中になれるものがないので、今からでも作った方がいいんじゃないかと考えさせられました。

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2013年3月11日月曜日

あきらめることから始まること


カウンセリングをしていると、「もう、あきらめの境地ですよ」というセリフを耳にします。自分なりに努力したり、工夫してみてもなかなか結果が出ない時に、そういう心境にいたるようです。

このセリフだけ聞くと、問題を放ったらかして、断念している印象を受けます。外から見ていると、励まして前向きにしたい気持ちにもなります。しかし、実際は、そういう風に語った後、良い意味で変わっていくことが少なくないです。

何でそうなるのか僕も不思議に思ってました。けれど、あきらめるの語源を知って、気づいたことがあります。

諦めるの語源には、“明らかに見極める”という意味があるらしいです。ですから、そのような心境には、ネガティブな思いだけではなくて、どこかで自分自身や、置かれている状況を受け入れるような気持もあるのだと思います。

これを自己受容と言います。今まで受け入れがたかった自分の一面を受け入れるのは、その人の行動に大きな影響を与えます。それが良い変化を生むのだと思います。

じゃあ、最初からあきらめたらいいのか?と言うと、もちろんそうではありません。『スラムダンク』の中に、「あきらめたらそこで試合終了ですよ」という安西先生の名言がありますが、その時のあきらめは、投げやりという雰囲気が含まれているのだと思います。

あきらめることを勧めはしませんが、紆余曲折を経た後に生まれる、寂しさと受容が混じったようなあきらめは、良い変化を生むことが多いですよ。

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2013年2月20日水曜日

お説教に意味はあるか?

説教というのは、そもそも牧師さんや和尚さんが説いてくれるありがたいお話のようですが、今回は、日常でよく目にするお説教について書きたいと思います。

仕事をしている人であれば上司に至らない点についてお叱りを受けたり、学生であれば先輩や教師などにダメだしされる機会があると思います。説教されてみてどうだったかを尋ねてみると、ほとんどの人が態度を変えるどころか、説教した人に対する不満を口にします。

では説教なんて全く意味がないのか?というとそうでもありません。たまにですが、お説教されて態度を変える人もいるからです。

分類すると、態度を変える人と、不快感だけ募らせる人がいるわけですが、その最も大きな違いは互いの関係性だと思います。態度を変える人は、説教する人との間にある程度の信頼関係が出来ています。「タバコはやめろ」と教師から言われるのと、友達から言われるのは響き方が違いますよね。信頼関係がないと、ただただ相手にとって不快なものとなってしまうようです。

じゃあ、不快感が募るだけの説教は意味がないのか?というと、そうではなくて、そこにもちゃんと意味があると思います。ただ、説教される側ではなくて、する側にとって、です。説教している人のことを注意して見てみてください。説教することによって、その人自身が癒されていることに気づくと思います。説教する側にとっては、自分の考えや意見を存分に語れるわけですから、当然気分がいいですよね。ですから、説教をよくされる人は、それだけ癒し系なのだと思います。

ここまでの文章でもそうですけど、説教を「聞いた」とは言わないで、ほとんど「された」って表現しますよね。体験としては受け身に感じられているのだと思います。ですから、説教されるたびに、今日も誰かを癒してやったと思っていると少し自分の主体性が取り戻せていいですよ。

関連記事:『怒られる才能

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2013年2月15日金曜日

人前での緊張をやわらげる方法


人前に立って話をする時に、緊張が強くなりすぎて困っちゃうことがあります。緊張なんて全然しないという人もいますが、それは少数ではないでしょうか。僕も講演したり、研修をする機会があって、そんな時はやっぱり緊張します。

緊張をほぐすための方法は色々あるのですが、僕がやって良かったのはその緊張を自白するという方法です。例えば、講演する時に緊張していたら、最初にこんな風に言ってしまいます。「こんなに大勢の方が来てくださったことはうれしいのですが、普段、カウンセリングは1対1でやっているので、ちょっと緊張してます」、と。このやり方は手軽だし、けっこう肩の力が抜けます。

緊張しているのにそれを話さないでいると、“緊張が相手にばれないようにしなきゃ”という心理が働きます。緊張をばらさないようにするというタスクをこなしながら、もともとの相手に伝わるように話すというタスクをこなすとなると、2つのタスクを同時に遂行しなければいけません。これは大変なので、どちらかが破たんしがちです。そうなってしまうと、ますます緊張が強くなるという悪循環が生じてしまいます。ですから、早めに自白してしまった方がいいと思います。

聞いている聴衆の側には、自白されることで求めるハードルが下がるという現象も起こります。スーパーのレジで並んでいて、他のレジに比べてなかなか進まないからイライラしていたら、その店員さんのバッチに『研修中』と書かれていて“じゃあ、しょうがないか”と思ったことありませんか?それと同じです。緊張していることを相手に伝えてしまうことで、相手の目が優しくなります。そのように、相手のハードルが下がることで、こちらもさらに話しやすくなるという良い循環が起こります。そういう点でも、この方法は有効です。

もちろん、自分の緊張はもっとすごくてそんな簡単じゃないと思う人もいるでしょうが、この方法は手軽なので、お試しでやってみるといいですよ。

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2013年1月28日月曜日

相手に変わってもらうためには

カウンセリングをしていると、度々こんな相談を受けます。困った人がいて、その人に変わってほしいんだけどなかなか難しいというものです。確かに、それは難しいです。他の人を変えるのは、自分を変えるよりもずっと大変なんです。

たとえば、サッカーで、パスはうまいけどシュートが苦手な人がいたとします。「そこはシュートだろ!」とみんなが思う場面でも、いつも味方にパスをしてしまいます。

そんなとき、「なんでシュートうたないんだ!」と厳しく注意したり、怒るというやり方がありますね。このやり方は、そこら中で使われているので、ある程度の効果があるのだと思います。けれど、行き過ぎると、今、話題になっている大阪の高校で起こったようなことにもなりかねません。

方法は、もっとたくさんあります。パスが上手だから、そこをどんどん褒めるというのも1つのやり方です。そうすると、パスがうまくなっていって、その人は自信が出てきます。その自信が出た分だけ、自分が苦手だったシュートもやってみようという気持ちになっていきます。人は、余裕が出来たらその分だけ、自分のダメな所にも注意が向くようです。

けれど、どっちのやり方にしてもシュートの上達度としては同じだろ、と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。ほとんどの場合、良いところをほめて変わった方が、怒ったりして変えるよりもずっと上手にシュートをうてるようになっています。それは、パスが上手くなっていくときに身につけた技術が、シュートにも活かされるからです。ゴールにパスするようにシュートをうてるようになるかもしれません。

ですから、誰かに困っている・変わってほしいと思ったら、まずはその人の良いところに注目してみるのがおススメです。ただし、あまりにもその人に対して我慢している期間が長いと、良いところを探そうなんて気分にはとてもなれません。そうなってしまう前に、普段から心がけておくことが大切です。その人の良さをほめたり、感心したりしていると、だんだん変わっていきますよ。

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2013年1月10日木曜日

長生きの秘訣

今回は、僕が思う長寿の秘訣です。単に長く生きるというよりは、歳を重ねても活き活きできるための方法です。

良いとか悪いとかいう基準はちょっと横に置いて、思い返してみて下さい。一番活き活きして元気なお年寄りってどんな人でしょう?

僕が観察した限りでは、お爺ちゃんは、『ドラゴンボール』の亀仙人みたいな、エロじじいのような人が元気です。入院していても看護師さんのお尻を触っちゃうような人は、生命エネルギーが高いように見えます。お婆ちゃんは、『ポニョ』に出てくるトメさんみたいな、常に何かに文句を言ったり憎まれ口をたたく人が元気なようです。ということは、そういう部分を持つことが、歳を取ってからも元気で居続けられる秘訣ということになります。

けれど、残念ながら、こういうお年寄りはどちらも嫌われる傾向にあります。エロいお爺ちゃんの方は、「しょうがない人だ」と呆れられるだけのこともありますが、お婆ちゃんの方は、本気でうんざりされている話を度々耳にします。周囲の人からすると、しょっちゅう愚痴を聞かせられたり、自分自身が文句を言われたりするので、煙たいのでしょう。

僕は、お爺ちゃんがエロい部分を持っていることや、お婆ちゃんが文句ばかり言っていることは、1つの健康法なんじゃないかと思っています。そして、そういう風に考えると、少しだけ優しい気持ちで接することが出来ると思うのですが、どうでしょうか?

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